「片付く家」にするために、最初に考えたい3つの場所
こんにちは。インテリアコーディネーターの石原紗知江です。
今日は「片付く家」にするために、最初に考えたい3つのことについてお話ししますね。
忙しい日常の中で、時間と気力の必要な「片付け」がほんの少しの工夫で変わるのなら、取り入れてみたいと思いませんか。
収納を増やす前に考えたい、片付く家の作りかた

家づくりのご要望の中で多いのが、「片付く家にしたい」というものです。
多くの方が最初から、収納の量を増やそうとします。
増やせるだけ増やしたいと希望する方もいます。
けれど実際には、収納を増やしただけでは片付けやすい家になるとは限りません。
新築したのに、「なぜか物が出しっぱなしになる」というご相談も少なくないのです。
片付けやすさを左右するのは、収納の多さではなく“考える順番”がポイントになります。
今回は、「片付く家」にするために、家づくりの最初に考えておきたい3つの場所についてお伝えします。
1.家が散らかる原因の8割は”玄関”にあります。

玄関は、家の中でもっとも物の出入りが多い場所です。
靴や傘だけでなく、バッグ、上着、郵便物、買い物した荷物、宅配便、子どもの学校用品など、外から持ち込まれる物の多くが、まず玄関を通ります。
そのため玄関に「一時的に置ける場所」がないと、物はリビングやダイニングへと流れ込み、気づかないうちに家全体が散らかっていきます。これが、玄関が散らかりやすい原因になってくるのです。
では、散らかりやすい玄関をどうしたらいいのか。ご家族にあった形で、ご提案のプランの中に玄関の「一時置き場」を作ります。
「一時置き場」とは、収納する場所ではなく「帰宅した瞬間に物の流れを止める場所」のことです。
この場所でのポイントは「迷わず・動かず・その場で置ける」ことが重要になってきます。
人は2、3歩余計に動くことを嫌うため、数歩動くくらいならその場に物を置きます。
それを防止するには、収納とは少し役割が違う“途中の受け皿”が必要となってきます。
【とりあえず床置き防止】
バッグやランドセル → オープン棚、可動棚の一部、ベンチなど
【花粉、ウイルス、汚れの持ち込み防止】
上着やコート → クローク、壁掛けフック、ファミリークローゼット直結など
【ダイニングテーブルの散らかり防止】
郵便物や鍵や小物類 → ニッチ、小さなカウンター、トレーがおける場所など
【一度リビングに置いておこうを防止】
買い物袋や宅配便 → 土間つづき・シューズクローク内に棚、パントリー直結など
具体例としていくつか挙げましたが、どれも動作途中にあることが大切になってきます。
私もそうですが、少しでも移動や手間が増えると「あとで片付けよう」となりがちです。
その結果、リビングやダイニングに物が流れ込み、散らかりの原因になっていくものです。
ポイントは、玄関に家が散らかりにくくなる“途中の受け皿”を用意しておくことで、物が家の奥まで広がるのを防ぎ、自然と片付く流れが生まれます。
このように、玄関で物の流れを整えることで、家の中へ持ち込まれる「散らかりの種」を減らすことができます。
しかし、家の中で物が滞留しやすい場所は玄関だけではありません。
毎日立つキッチンにも、実は片付けやすさを大きく左右するポイントがあります。
2.キッチンは”収納量”より”作業途中の置き場”が大切です

キッチンの計画というと、「どれだけ収納を増やせるか」がメインテーマになりがちです。
実際の打ち合わせでも、「収納は多い方が安心ですよね」とご相談をいただくことは少なくありません。
将来、物が増えても困らないようにと考え、できるだけ収納量を確保したいと感じるのは自然なことだと思います。
誰だって、散らかって見えるのはいやですし、いつでもキレイなキッチンだと自然と気分もあがるものです。
けれど実際には、単純にキッチンの収納を増やしても片付けやすくなるとは限りません。キッチン周りの収納は家族の人数にもよりますが、一人当たりの量はさほど多くありません。
では、何を重要と考えるかです。私は収納量よりも大切にすることは「動きやすさ」だと考えています。
新しい理想通りのキッチンだったとしても、気づくとカウンターや作業スペースの上が散らかっている。
調理中のことを少し思い返してみてください。
食材や調味料、使いかけの道具が作業スペースにたくさん並んでしまうことありませんか。
では、なぜこのような状況になってしまうのか。
その原因は、調理中に生まれる“一時的に置きたい物”の行き場が決まっていないためです。
食事の準備中には、買ってきた食材を置き、下ごしらえをし、調理、盛り付け前の料理やお皿を並べるなど、作業の途中でいくつもの物を置かなくてはならない場面が何度もあります。
本来は調理のための作業スペースが、置きたい物の仮置きスペースになってしまうことで、キッチンは散らかって手狭に見えてしまいます。
そこで大切になるのが、「作業途中の置き場」をあらかじめ想像し、計画しておくことです。
例えば、パントリー内の一時置きできる棚、冷蔵庫近くのカウンター、配膳前に料理を置けるスペースなど、調理の流れや動きを止めずに物を移動できる場所があるだけで、キッチンは驚くほど整いやすくなります。
振り返るだけで置ける場所や、ワンステップで手が届く位置にあることも大切なポイントです。
少しでも移動が必要になると、作業スペースにそのまま置いてしまうことになります。
この“途中の居場所”をつくること。それが、使いやすく片付けやすいキッチンにつながります。
収納量を増やすよりも、日常の動作に無理がない配置を考えることが、自然と整うキッチンへの近道になります。
私たちはプランニングをしながら図面の中を何度も歩いて確認していきます。
「動きやすい」キッチンでの料理は豊かな暮らしに繋がる大切なポイントだと思っています。
3.洗濯動線が整うと家全体が整います。
洗濯は、家の中で物が移動し続ける家事のひとつです。
ここでは暮らしに当てはめて考えてみるとわかりやすいです。
まず、洗濯物(汚れ物)はどこに集めていますか?
→ 私は大きめの洗濯カゴを浴室前に置いています。家族はそこに洗濯してほしい物を入れます。
・洗濯機に直入れの方もいるでしょう。
・各部屋に散らばった洗濯物を集めて回る方もいるでしょう。
次に、洗濯前の予洗いや色物の分別を済ませて、洗濯機で洗います。
→ 私は朝2回洗濯をしています。多い日は夜に回すこともあります。
・洗濯の回数やタイミングはどんな感じでしょうか?
干す場所はどこでしょうか?外干しですか?部屋干しですか?洗濯乾燥機は使いますか?
→ 私は部屋干し+ガス衣類乾燥機を使っています。
・洗濯スタイルは好みやこだわりが出るところです。
取り込み、たたみ、しまうのはどこでしますか?
→ 私は立ったまま畳みキャビネットへ。ハンガーはそのままクロークへしまいます。
・やりやすい方法で大丈夫です。
この、「たたみ、しまう」という動作は生活する人のスタイルが大きく出てくる場所になります。
洗濯物を運んだり、置いたり、使うスペースが人によって違います。
洗濯物を「 洗う → 干す → 取り込む → たたむ → しまう 」
この一連の作業がスムーズに繋がっていると、洗濯動線は短くなります。
逆に繋がっていない場合、洗濯物は家のあちこちに滞りやすく、動く距離も長くなります。
例えば、洗濯機から干す場所まで距離があったり、取り込んだ洗濯物を畳む場所が決まっていなかったりすると、とりあえず一時的にソファやテーブルに置かれることが増えてしまいます。
その結果、「なんとなく散らかって見える状態」になってしまいます。
そこで大切になるのが、洗濯に関わる動線をできるだけ短く、シンプルに整えることです。
洗う場所の近くに干す場所があり、取り込んだあとに畳むスペースがあり、そのまま収納できる流れができていると、洗濯物が家の中を行き来することが少なくなります。
私が家づくりで取り入れたのは「洗濯室」を作ることでした。
洗濯物を「 洗う → 干す → 取り込む → たたむ → しまう 」
この流れをまとめてしまう方法です。この洗濯動線がとても好評で、家づくりで採用される方が多い場所になりました。
片付けやすい家を考えるとき、洗濯の流れを見直すことも大切なポイントになってきます。
洗濯動線が整うと、家の中で物が溜まる場所が減り、結果として家全体が整いやすくなります。

片付く家というと、「収納をどれだけ増やすか」にばかり意識が向きがちです。
けれど実際には、物が家の中をどのように動くのかを把握することが大切です。
そして、その流れを整えることが暮らしやすさに繋がっていきます。
玄関では、外から持ち込まれる物の“最初の置き場”を決めてあげること。
キッチンでは、調理の途中で生まれる“仮置きの場所”を作ること。
そして洗濯では、洗う・干す・しまうまでの流れをスムーズにすること。
どれもほんの少しの工夫であること。
こうした小さな仕組みをあらかじめ考えておくことで、特別に頑張らなくても整いやすい住まいになります。
どれも、特別な収納や広さが必要なわけではありません。
家づくりの初期段階で「どこを基準に考えるか」によって、その後の暮らしやすさが大きく変わります。
間取りや収納計画が進んでからでは、見直しが難しい部分も少なくありません。
これから家づくりを始める方や、間取りを検討中の方は、ぜひ一度「暮らし方」の視点から考えてみてください。
もし、「自分たちの暮らし方だとどう考えればいいのだろう」と感じられたときは、お気軽にご相談ください。
ご家族の生活スタイルに合わせて、片付けやすい住まいの形を一緒に整理していきます。
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