間取りの前に考えるべき”たった1つのこと”
こんにちは。インテリアコーディネーターの石原紗知江です。
埼玉県深谷市を中心に、埼玉県北部や群馬県南部で家づくりのお手伝いをしています。

家づくりのご相談の中で、「何から考えたらいいですか?」というご質問をよくいただきます。
その中で感じるのは、間取りよりも先に整えておきたい大切なことがある、ということです。
これからの暮らしを考える時に、大切にしたい視点
家づくりを考え始めたとき、
まず「間取り」をどうしようかと考える人がとても多いです。
SNSの写真や施工事例の間取りを見て、
「こんな家がいいな」「この間取り使いやすそう」
そんなふうにイメージを膨らませる時間は、とても楽しいものですよね。
実際にご相談に来られる方の中にも、
すでにいくつか気になる間取りを見つけていたり、
「こんな配置にしたい」とイメージをお持ちの方は少なくありません。
ただ、ここでひとつだけ、お伝えしておきたいことがあります。
それは、間取りから考え始めるという順番が、
あとからじわじわと暮らしにくさにつながってしまうことがあるということです。
もちろん、さまざまな間取りを見ること自体が悪いわけではありません。
イメージを持つことは、とても大切なことです。
私自身も、多くの間取りを見て比較しながら考えてきました。
ですが、その前提となる考え方がないまま進めてしまうと、
一見よさそうに見える間取りでも、
実際に暮らしてみると「なんとなく使いづらい」と感じてしまうことがあります。
そしてその違和感は、「ここがダメだった」とはっきり言えない分、
日々の暮らしの中でじわじわと積み重なっていきます。
間取りは、家づくりのスタートではなく、本来は「最後に形になるもの」です。
では、間取りを考える前に、本当に大切にしたいことは何なのでしょうか。
暮らしやすい家は「間取りの前提」で決まってくるものです。
1.間取りを先に考えてしまうと、うまくいかない理由

間取りを考えること自体は、もちろん家づくりの大切な工程です。
ですが、その順番を少し間違えてしまうだけで、
暮らしやすさに差が生まれてくることがあります。
よくあるのが、SNSや施工事例で見つけた間取りを参考にしながら、
「この配置が良さそう」「この動線が便利そう」と、
少しずつ自分たちの家の形をイメージしていく進め方です。
一見、とても合理的で失敗がなさそうに思えますよね。
実際に、どれもよく考えられた間取りですし、“人気がある”という安心感もあります。
ただ、その間取りは、あくまで“その家族にとっての正解”としてつくられたものです。
だからこそ、その間取りがどのような条件の中で成り立っているのかを見る視点が欠かせません。
そのひとつが、敷地や周辺環境を十分に読み解かないまま、間取りを考え始めてしまうことです。
実際にご相談の中でも、この順番によって間取りの考え方が大きく変わる場面は少なくありません。
家は、どこに建てるかによって、心地よさのつくり方が大きく変わります。
例えば、同じ間取りであっても、周囲の環境によって次のような違いが生まれます。
・光の入り方
・風の通り方
・周囲からの視線
・音や道路との関係
こうした条件によって、暮らしの感じ方や使いやすさは大きく変わってきます。
つまり、他の場所で心地よく成り立っていた間取りが、
そのまま自分たちの敷地でもうまくいくとは限らない、ということです。
それにもかかわらず、先に間取りの形を決めてしまうと、
本来その土地が持っている良さを活かしきれなかったり、
少しの工夫で心地よくできたはずの部分に、無理が生まれてしまうこともあります。
だからこそ大切なのが、「敷地を読み解く」という視点です。
どんな場所に、どんな環境の中に建つ家なのか。
そこを丁寧に見ていくことで、はじめてその家族にとって心地よい間取りが見え始めます。
間取りは、自由に考えられるもののように見えて、
実は“その場所に合わせて導かれていくもの”でもあります。
だからこそ、その前に整えておきたい大切な視点があります。
それが、次にお話しする内容です。
2.間取りの前に考えておきたい「暮らしの前提」

では、間取りを考える前に、
どんなことを整理しておくとよいのでしょうか。
それが、日々の「暮らし方」をもとにした“暮らしの前提”を整えることです。
家づくりというと、どうしても「どんな間取りにするか」「どんな設備を選ぶか」と、
目に見える部分から考え始めたくなります。
ですが実際には、その前に考えておきたいのは、
“どんなふうに暮らしたいか”という、ご家族の日々の過ごし方です。
例えば、
・朝は何時に起きて、どんな流れで準備をするのか
・洗濯はいつ、どこで、どのように行うのか
・帰宅後、どこに物を置き、どんな動きで過ごすのか
・家族それぞれが、どこでどんな時間を過ごすのか
こうした日常の積み重ねが、そのまま暮らしやすさにつながっていきます。
さらに、同じご家族でも、
「何を大切にしたいか」によっても、選ぶべき形は変わってきます。
例えば、
・家事の負担をできるだけ減らしたいのか
・家族で過ごす時間を大切にしたいのか
・一人で落ち着ける時間を確保したいのか
こうした“優先したいこと”によって、間取りの考え方や整え方は大きく変わっていきます。
私自身、二人の子どもを育てる中で感じているのは、
暮らしは思っている以上に“流れ”でできている、ということです。
朝の支度や帰宅後の動き、
洗濯や片付けといった日々の家事も、
ひとつひとつがつながりながら、自然と流れをつくっています。
その流れがスムーズに整っているだけで、
毎日の家事や身支度の負担は、驚くほど変わっていきます。
一方で、この流れは自分たちにとって当たり前になっている分、
意識して見直す機会が少なく、整理されないままになっていることも少なくありません。
逆に、この流れが曖昧なまま間取りを考えてしまうと、
一つひとつは問題がなくても、どこかで動きに無理が生まれ、
暮らしの中に小さな使いづらさとして表れてくることがあります。
私たちは間取りは、暮らしの流れを受けて、自然と形になっていくものと考えています。
だからこそ、
まずは「〇〇がしたい」「〇〇がほしい」ということではなく、
「今、どんな暮らしをしているのか」にしっかりと目を向けてみることが大切です。
理想だけでなく、現実の動きや習慣を丁寧に確認していくことで、
はじめて自分たちに合った間取りの方向性が見えてきます。
実際にご相談では、この「暮らしの前提」を一緒に整理するところから始めています。
一つひとつ言葉にしながら整えていくことで、
これまで見えていなかった“自分たちらしい暮らし方”が、少しずつ見えてきます。
3.暮らしを考えずに間取りを決めるとおこること

暮らしの前提を十分に整理しないまま間取りを決めてしまうと、
一見きれいに整っているように見えても、
実際の暮らしの中で、少しずつ違和感が生まれてくることがあります。
それは、「ここが使いにくい」とはっきり言えるものではなく、
なんとなく動きにくい、ちょっとした手間が増えている気がするなど、
気にしなければ過ごせるけれど、ふとした瞬間にストレスとして感じてしまうような違和感。
日常の中に溶け込むような、ごく小さな負担です。
例えば、日々の暮らしの中ではこんな場面があります。
・洗濯の動線が少し遠くて、毎日の移動が負担になる
・帰宅後に物を置く場所が決まらず、リビングが散らかりやすくなる
・家族の動きが重なって、朝の準備が慌ただしくなる
どれも大きな問題ではないかもしれません。
ですが、こうした小さなズレは、毎日の積み重ねによって、
少しずつ“暮らしにくさ”として感じられるようになります。
そして厄介なのは、その原因がはっきりと分からないことです。
間取り自体に大きな問題があるわけではない。
設備が足りないわけでもない。
それでもどこかしっくりこない——
そんな状態が続いてしまうことがあります。
本来、住まいは、自分たちの暮らしに合わせて整えていけることが大きな魅力です。
だからこそ、間取りの形だけを先に決めてしまうのではなく、
その背景にある暮らしの流れまで含めて考えていくことが、
日々の暮らしの心地よさにつながっていきます。
建売住宅や企画住宅の住まいは
すでに形が決まっていて、生活がイメージしやすい良いところもあります。
限られた条件の中でバランスよく整えられているからこそ、
安心して選べるという魅力もあります。
一方で、私たちの家づくりでは、
自分たちの暮らし方に合わせて、一つひとつ丁寧に整えていけるという良さがあります。
敷地を読み解き、暮らしをデザインし間取りにしています。
どちらを選ぶかではなく、自分たちにとってどんな暮らしが合っているのか。
そこにしっかり目を向けることが、
これからの住まいを考えるうえで大切な視点になります。
その違和感は、小さなことのようでいて、日々の満足度に少しずつ影響していきます。

ここまでお伝えしてきたように、
家づくりは最初のステップをどれだけ丁寧に踏むかで、
その後の進み方や、暮らしやすさに大きな差が生まれてきます。
間取りや設備を考えることももちろん大切ですが、
その前に「どんな暮らしをしているのか」「どんな時間を大切にしたいのか」
そうした土台を整えておくことが、結果として心地よい住まいにつながっていきます。
一方で、この“暮らしの前提”は、自分たちにとって当たり前になっているからこそ、
意識して整理しようとしないと、見えにくい部分でもあります。
気づかないまま進めてしまうと、
あとから小さな違和感として積み重なってしまうこともあります。
だからこそ、準備不足のまま進めるのではなく、
最初の段階で一度立ち止まり、丁寧に整理しておくことが大切です。
では、「片付く家にしたい」と思ったとき、
多くの方が自然と選んでしまう“ある考え方”があります。
実はそれが、暮らしにくさにつながってしまうことも少なくありません。
次回は、「片付く家にしたい人ほど間違える考え方」についてお話ししていきます。
もし、ご自身の暮らしに合った間取りについてもう少し具体的に考えてみたいと感じられた方は、お気軽にご相談ください。
石原紗知江|インテリアコーディネーター
埼玉県深谷市を中心に、車で90分圏内(埼玉県北部・群馬県南部)で、注文住宅の家づくりや間取りのご相談を承っています。
対話を通して暮らしの動きを整理し、「片付く家」と「暮らしやすい動線計画」を大切にした住まいをご提案しています。
頑張らなくても自然と整う暮らしを、設計の段階から丁寧に形にしていきます。
これから家づくりを考える中で、「自分たちの場合はどう考えればいいのだろう」と感じたときは、お気軽にご相談ください。
ご相談はまだ具体的でなくても大丈夫です。
施工エリアについても個別にご案内しております。