インテリアコーディネーターが自宅で”あえて選ばなかった”3つのこと

公開日:2026/03/04(水) 更新日:2026/03/05(木) 家づくりのこと

正解はひとつじゃない。私たち家族が心地よく暮らすために選んだ答え。

 

 

インテリアコーディネーターの自宅と聞くと、どんなお家を想像しますか?

「おしゃれでトレンドが多く取り入れられている」

「現代的でシンプルな住まい」

「個性が際立つ、洗練されたインテリアが揃っている」

「多くのものがあっても整然としている」

「おしゃれな空間で暮らしている」など、、、

 

「自宅=完璧」というイメージですよね?

インテリアコーディネーターという仕事をしていると、よくそう言われます。思われます。

 

でも、そのイメージ、本当は違うかもしれませんよ。。。

 

インテリアコーディネーターであっても、家づくりに迷います。

むしろ、迷ったからこそ見えたことがありました。

 

だから、今回のテーマをあえて選ばなかったものにしました。

選ばなかった理由は妥協や諦めではなく、考え抜いた結果です。

私たち家族が心地よく暮らすために選び取ったものをご紹介します。

 

ただ、忘れてほくしないのは「正解はひとつじゃない。」ということ。

暮らしや住まいの考え方、家族構成や将来設計など家づくりをする全てのご家族ごとに最適解が存在します。

このコラムは、生活スタイルの参考例として読んでみてください。

 

 

収納や造作家具にあえて扉を付けなかった。

 

え?扉ないの?と思いますよね。

我が家の収納や造作家具にほぼ扉はありません。


収納はすべて扉付き、中はみえないように。が基本という考え方、実はすごく多いです。実際、仕事では「扉付き収納」をおすすめすることもたくさんあります。
生活感を隠せて、空間がすっきり見える。そのメリットは、よく分かっています。

 

それでも自宅では、収納や造作家具に扉を付けませんでした。

理由は、とてもシンプルです。暮らしの中でストレスを少しでもなくしたかったから。

 

インテリア的には扉付が正解だと思われがちですが、収納の考え方で優先すべきことを考えたところ、私たち家族の収納に必要なのは、「出し入れのしやすさ」だと気づきました。

 

「扉を開けて、物をしまって、閉める」

 

私にとってはこの動作が負担でした。扉がなければ収納するという動きの中で、アクションを減らすことができます。物を両手に持っている時だとすると、扉を開ける前に一旦、物をどこかに置くという動きもプラスされてきます。

私たちならきっと、どこかに置いて、あとで収納する。という状況になるなと。忙しい時なんて、置きっぱなしになるなと。

何気なくやっていることかもしれませんが、考えて言葉にしてみると面倒なことって日常の中にたくさんあることに気付かされました。


生活の中では、キレイに見せているだけで、整った状態が続かない。


それは、私たち家族の暮らしには合いませんでした。

扉をなくしたことで、家族全員が収納する物の量や置き方に自然と意識が向くようになり、
「使うものだけを、使う場所に置く」というシンプルな暮らし方に近づいた気がします。

暮らしは「時々、整って見えること」よりも「毎日続くこと」を大切にしたい。
そう考えた結果、私たちは扉を付けない選択をしました。

 

扉をあえて付けなかった。

 

実は、この選択にはたくさんのメリットが隠されていることに気づきました。

・開閉アクションがなくなり、すぐ取り出せる。すぐにしまえる。物の管理がしやすい。

・観音扉の場合、開くために必要なスペースが不要になり、空間を有効活用できる。

・扉の開閉でよくある、指を挟むことがない。事故防止につながる。

・湿気がこもりにくいので、カビやニオイ対策にも有効。

・コストカットにも繋がる。

 

もちろん、デメリットだってあります。

私たちの暮らしの中では、ふたつだけがデメリットとなりましたが、対策はすぐに考えつきました。

・ホコリがつきやすい。  こまめに掃除する。

・生活感の露出。  そもそも見える位置に設計しない。

一般的には、ロールスクリーンで隠すなどと言われていますが、見えなければそれも不要です。収納に扉がないと、その空間まで冷暖房することになり、空調効率が悪くなるとも言われますが、家中どこにいても温度差のない家づくりをしていますので、こちらも心配不要です。

 

あえて扉を付けなかった。という選択で、

「なくていいもの」に気づくようになったのです。

 

 

「なくていいもの」として選んだ、勝手口。

 

扉を付けない選択をしたことで、私たちは家づくりの中で「本当に必要なものは何だろう」と深く考えるようになりました。その延長線上にあったのが、勝手口です。

 

「勝手口」とは玄関以外に設けられた出入り口のことで、台所や洗面所など主に水回り付近に多い物です。

 

勝手口は必要か。不要か。これには色々な意見があります。

そうですね。10年くらい前までは勝手口は「あるもの」として、家づくりの打合せ中に「当たり前」のように話題に上がっていました。キッチンから外に出られるので、ゴミ出しのしやすさは便利だと感じる場面はあります。

 

私の実家には台所に1.5帖ほどの広い勝手口があります。小さい頃の記憶では酒屋さんはこの勝手口から出入りしていました。家の裏にはうどんやそばを打つ小屋が建っていて、かまどや井戸など昔の炊事場があります。当時の暮らしを思い出すと、勝手口は生活に欠かせない場所でした。

 

そして、結婚後に暮らしていた、築45年の戸建て借家には「当たり前」に勝手口がありました。けれど、日常の中で使う機会は全くありませんでした。

買い物帰りは玄関から入るので、わざわざ勝手口から家に入らない。
ゴミ出しも、玄関とキッチンが近いので、わざわざ勝手口を通るほどの距離はない。
気づけば、勝手口は「あるけれど、使わない場所」であって、私たちとって勝手口土間はゴミの一時置き場でした。

 

実家の使われる勝手口、以前の借家の使われない勝手口。両方の家で暮らした経験から、勝手口は、私たち家族の暮らしに本当に必要だろうかと考えました。

 

勝手口のメリットは家事動線の短縮です。買い物の荷物の搬入、ゴミ出しなど。

勝手口を設けることで生まれるデメリットもあります。

・鍵の管理が増える(玄関と勝手口、2か所)
・防犯面への配慮が必要になる(死角になりやすい)
・設置や外構工事など、コストがかかる
・キッチンの有効面積が減る

 

他にも、戸締りのチェックが増える。出入りの際に虫の侵入などがありました。

考えれば考えるほど、私たちの暮らしに勝手口は使わない可能性が高いことに気づきました。その分のスペースやコストは空間や収納にかけたほうがいいのではないか。そう考えるようになりました。

 

結果的に、私たち家族は「勝手口をつくらない」選択をしました。
それで、暮らしが不便になったかというと、そうではありません。むしろ動線がシンプルになり、家全体が使いやすくなったと感じています。

 

「あると便利そう」ではなく、「実際に使うかどうか」

 

勝手口をつくらなかったことで、「あるのが当たり前」ではなく、

自分たちの生活を基準に考えることの大切さを改めて実感しました。

 

 

「当たり前」を見直した、浴室の鏡と棚

 

こうして「なくてもいいもの」を一つずつ見直していく中で、収納の扉、勝手口、そしてもう一つ、私たちが選ばなかったものがあります。浴室の鏡と棚です。

正直に言います。私はお風呂掃除がいちばん苦手です。

毎日使っている場所なのに、すぐに汚れる。水垢や石鹸カスを落とすのに道具や洗剤、薬品が必要で、棚があると掃除する場所が増えます。シャンプーボトルなどを置くと、ヌメリやカビが気になり、細かい擦り洗いなども必要になってくる。気にすればするほど掃除する時間が長くなっていきます。

 

少しでも気を抜くと掃除の手間と時間が増えていく。毎日の掃除のたびに気が重くなる。

 

毎日掃除しているのに、キレイな状態をキープできない。これが本当に嫌でした。

浴室掃除の無限ループです。

 

私は毎日使う場所だからこそ、できるだけ負担を減らしたい。キレイを保つために頑張るのではなく、無理をしなくてもキレイを保てる形にしたい。

そう考えて、私たちは思い切って浴室に鏡と棚を付けないという選択をしました。

 

実際に暮らしてみると、不便さはほとんど感じません。

まず、浴室の鏡ですが、そもそも誰も使っていなかった。ということを家づくりの時に再確認しました。これには「やっぱりね」と納得した記憶があります。

ただ、浴室内で髭剃りをするご家族がいる場合は必要になることもありますので、その点は打ち合わせやショールームのご案内時に確認させていただいています。

浴室内の棚ですが、棚にはシャンプーやボディソープなどのバスグッズを置くことが多いと思います。私たちは入浴に必要なものを各自で持ち込み、使い終わったら外に出すようにしています。
これだけで棚は不要になり、ヌメリやカビとは無縁になりました。慣れるまでは少し面倒に感じるかもしれませんが、続けていくうちにそれが自然になっていきます。

鏡なし、棚なし。それだけで掃除はぐっと楽になりました。

「嫌だな。」「面倒だな。」と気が重くなることもなく、以前よりも気軽にお風呂掃除ができるようになりました。

 

 

 

家づくりというと、どうしても「何を付けるか」を考えがちです。けれど、「何を付けないか」を考えることで、日々の暮らしが楽になることもあります。


毎日続く家事だからこそ、小さな負担を減らす工夫は想像以上に大きなゆとりにつながると感じています。

「当たり前」だと思っている設備も、本当に毎日必要なのかを一度立ち止まって考えてみる。 それだけで、これから先の暮らしが少し軽やかになるかもしれません。