安心・安全な住まい
家は、日々の心地よさだけでなく、「いざという時に家族を守れること」が大前提だと私たちは考えています。見た目や間取りの満足度だけでは測れない、構造の強さ、支える地盤の確かさ、そして将来の暮らしやすさまで。安心を“気分”ではなく“根拠”でつくるために、私たちは次の取り組みを大切にしています。
耐震性能を数値化して把握する
「強そう」「なんとなく安心」ではなく、耐震性能を数値で把握し、設計の判断材料として明確にします。建物にどの程度の力がかかり、どの部位に負担が集中しやすいのかを把握することで、間取りや開口、吹抜けなどのご要望と安全性を両立しやすくなります。
許容応力度計算による耐震等級3
「壁量計算」が多く採用されていますが、耐震性は「壁量」だけで決まるものではなく、建物に作用する地震力が、柱・梁・耐力壁・床(水平構面)を通じてどのように伝達され、各部材や接合部にどれだけの応力・変形が生じるかで評価する必要があります。私たちは許容応力度計算(部材レベルの構造計算)を行い、地震力・風圧力などの外力に対して、部材の応力度が許容値以内に収まっているか、および層間変形(変形角)や建物の偏心・ねじれが過大になっていないかを確認しながら、耐震等級3(最高等級)を目指します。また、耐力壁の配置バランスだけでなく、引抜き力に対する柱脚・ホールダウン金物の選定、せん断力に対する耐力壁・釘・金物の確認、水平構面の剛性確保、荷重の伝達経路(耐力要素の連続性)まで含めて整合を取ります。安全性を「仕様」ではなく「計算結果」で裏付け、プランや開口計画との両立を図りながら、根拠ある耐震設計を組み立てています。
地盤調査と地盤保証
どれだけ建物が強くても、支える地盤が不安定では安心は成立しません。私たちは計画地で地盤調査を行い、その結果に基づいて基礎形式や必要な補強を判断します。地盤の状態は土地ごとに異なり、近隣で問題がなかったとしても同じとは限りません。また、万一に備えて地盤保証の仕組みも整え、建てた後の不安を減らします。「調査して終わり」ではなく、調査結果の読み取りと設計への反映、そして引渡し後まで見据えた備えまで。家づくりのスタート地点である「地面の安心」を、曖昧にしないことが安全の基本です。
バリアフリー
安心・安全は、災害時だけの話ではありません。年齢を重ねた時、ケガをした時、子育ての時期など、暮らしの変化に対して危険や負担が増えないことも大切です。私たちは、段差を抑えた計画や動線、転倒リスクの少ない納まり、手すりの下地、将来の介助も想定した寸法計画など、バリアフリーを「今」だけでなく「これから」に備えた設計として組み込みます。さらに、夜間の移動やヒートショックなど、日常の“事故”を減らす工夫も安全性の一部だと考えています。住まいが、家族の暮らしをずっと支え続けるために。